2024年4月1日、改正不動産登記法が施行され、相続登記の申請が義務化されます。これにより、不動産の相続人が、正当な理由なく3年以内に相続登記申請しなかった場合、10万円以下の罰金が科されることになります。
改正の背景には「所有者不明土地」が年々拡大していることが挙げられます。「所有者不明土地」は国土全体の約20%に相当し、九州の面積よりも広いとされる調査結果も出ています。
これまで相続登記は義務ではなかったため、相続登記の手間や費用を惜しみ、相続登記が行われないケースが数多くありました。このような未登記の相続が数代にわたって繰り返されるうちに、ねずみ算式に相続人が増えている山林等も多数存在し、もはや国としても放置できない社会問題となっています。
なお、今般の法改正は2024年4月1日以前の相続にも適用されます。過去に親が亡くなって不動産を相続したのに名義変更をせずに放置してきた人達も、過料の対象となりますので注意が必要です。
このような話を聞くと、「価値の無い土地に手間もお金もかけたくない」という意見も出てくるかと思います。政府は「所有者不明土地」の拡大を防ぐため、土地の相続人が、その土地を手放して国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」を新たに設けました(2023年4月27日施行)。但し、境界が明らかでない土地は引き取りの対象外になる他、引き取りには10年分の土地管理費相当額の納付が必要となる等の条件もあり、この制度がどれだけ使い勝手の良いものになるのか、現時点では未知数の部分もあります。
これらを踏まえますと、これまで放置してきた先祖代々の土地や山林等について、今後の取扱いを親や相続人と話し合い始めるタイミングが来ているのかもしれません。