先月1月30日、総務省は2022年の「人口移動報告」を公表しました。2021年の「人口移動報告」では外国⼈を含む集計を開始した 2014 年以降初となる東京23区での転出超過(▲14,828人)となりましたが、2022年はどのような動きがあったのか見てみたいと思います。
まず東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)全体の転入超過者は、2021年から+17,820人拡大し+99,519人の転入超過となりました。コロナ禍でのリモートワーク普及に伴い、東京一極集中の流れが止まるのではとの声も聞かれましたが、東京一極集中の流れが止まる様子は見られません。
次に、東京23区の人口移動を見てみたいと思います。2022年の東京23区における転入超過者は+21,420人と、2021年の転出超過から再び転入超過に転じる結果となりました。この結果をだけを見ますと、東京都心からの人口流出は一時的であったように思われますが、年代別の転入出状況を詳しく見てみると、また違った様子を窺い知ることができます。
2022年において東京23区で転入超過となっている年代は15歳から29歳までの若者世代だけであり、それ以外の全ての年代で転出超過となっています。これ自体はコロナ禍前の2019年と同様の傾向であるものの、2019年と比較すると、2020年のコロナ禍以降、とりわけ30代、40代のファミリー層の転出超過は拡大している状況です。背景には、コロナ禍以降の都心の不動産価格高騰が影響していると推察され、若者世代の都心への転入とは対照的にファミリー層の都心からの転出の流れは続くものと予想しています。