1月26日、不動産経済研究所は2022年における「首都圏 新築分譲マンション市場動向」を公表しました。当該資料によりますと、2022年の首都圏の新築分譲マンション平均価格は6,288万円(対前年比+0.4%)であり、2年連続で過去最高を更新しました。
首都圏の新築分譲マンションの平均価格が過去最高を更新する一方で、首都圏全体の供給戸数は2万9,569戸と対前年比▲12.1%減少となりました。供給戸数が3万戸を下回るのは、新型コロナウイルス禍で販売活動が制約された2020年を除くと、1992年以来30年ぶりの水準となります。また、首都圏全体の初月契約率についても70.4%と対前年比▲2.9%下落しています。これらのことから、新築分譲マンション価格の上昇を受けて、デベロッパーが供給戸数を抑制しているにも関わらず、購入に二の足を踏んでいる購入層が増加しつつあることが推察されます。
なお、新築分譲マンション価格の上昇は東京都下、神奈川、千葉、埼玉にも広がっています。2022年において、東京23区の平均価格は8,236万円と対前年比▲0.7%下落したものの、東京都下では同+3.4%、神奈川県は同+2.7%、埼玉県は同+9.7%、千葉県は同+6.7%と、首都圏全体で幅広く価格が上昇しています。
2023年の新築分譲マンション市場においては金利上昇への警戒感があるにせよ、販売価格が高い東京23区内での販売戸数が増える見込みであることに加え、建築費の上昇を踏まえると、平均価格が大幅に下落する可能性は低いと思われます。
既に首都圏の新築分譲マンション価格はサラリーマンの平均年収の15倍近くに及んでおり、実需の購入者にとっては手が届きにくい価格まで上昇しています。これらを踏まえますと、2023年の新築分譲マンションは国内外の富裕層が投資目的で購入する割合が増加し、実需の購入層は中古マンション市場へのシフトが進むものと推察されます。