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円安加速でどうなる日本の不動産価格!?

2022.05.16

円安ドル高が加速しています。2022年3月1日時点で1ドル115.03円であった為替相場は4月30日時点で130.59円と2カ月間で13.5%も円安が進みました。ドル円が130円を超えたのは2002年4月以来実に20年ぶりです。円安が進んだ主な要因は、米国の中央銀行にあたるFRBが政策金利引上及び量的引き締め(QT)を進めようとしているのに対して、日銀は金融緩和を継続する方針であり、両者の金融政策の違いが鮮明になってきたためと言われています。

では、円安により、不動産価格にどのような影響が出るのか考えてみたいと思います。

まず円安によって木材等の輸入建築資材価格の更なる上昇が予想されます。輸入財の価格動向を表す日本銀行「輸入物価指数」(2022年3月)を見ると、「木材・木製品・林産物」の輸入物価は前年比+60.7%(円ベース)と需給のタイト化を背景に既に高い伸びとなっていますが、今後は円安を背景として更に価格が上昇し不動産価格への転嫁が予想されます。

次に円安によって、ドル換算の不動産取得価格が下がるため、外国人による日本の不動産買いが進むとの見方も出ていますが、果たしてどうでしょうか?

物件価格3億円、年間収入15百万円、表面利回り5%の物件について、円建てとドル建ての比較を見てみたいと思います。1ドルが100円では3億円の物件を購入するのに3百万米ドル必要でしたが、1ドルが130円になると約2.3百万米ドルで3億円の物件を取得可能です。しかしながら、収入は円安によって150千米ドルから115千米ドルに減りますので、円安が進んだ場合でも表面利回りは5%で変わりません。このように、円安は「直接的には」海外投資家による日本の不動産購入メリットとはなりませんが、今の円安を一時的と捉え、再び円高方向に戻ると見込んでいる海外投資家には、日本の不動産取得の好機となりますので、今後の海外投資家の動向に注目です。

(例)物件価格3億円、年間収入15百万円、表面利回り5%

①1ドル=100円の場合

  • 日本円:物件価格3億円、    年間収入15百万円   → 表面利回り5%
  • 米ドル:物件価格3百万米ドル、 年間収入150千米ドル → 表面利回り5%

②1ドル=130円の場合

  • 日本円:物件価格3億円、    年間収入15百万円   → 表面利回り5%
  • 米ドル:物件価格3百万米ドル、年間収入115千米ドル → 表面利回り5%

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