先月5月30日、一般財団法人日本不動産研究所は2022年4月時点の「国際不動産価格賃料指数」の調査結果を公表しました。この調査はニューヨーク、香港、東京といった世界主要14都市*の不動産価格並びに賃料の比較を示したものです。昨年、東京23区の新築分譲マンション価格は戸当たり平均8449万円と過去最高を更新したことが話題となりましたが、ここでは世界の主要都市と比較した東京の不動産について考えてみたいと思います。
*世界主要14都市:東京、大阪、ソウル、北京、上海、香港、台北、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ニューヨーク、ロンドン
まず、オフィスの床単価*ですが、調査結果によると、14都市の中で東京は香港に次ぐ世界第2位の高さです。また、賃料単価も、香港、ロンドンに次いで世界第3位の高さです。
*オフィス単価は各都市の最上位地区の単価を比較したものであり、東京は丸の内・大手町地区の価格。
次に、マンションについて見てみたいと思います。マンションの分譲単価*は14都市中、東京は第8位とオフィスほど上位に位置付けておりません。さらに興味深いことに、このコロナ禍の2年間で上位の都市との分譲単価差はより拡大しています。賃料単価については、東京は第5位です。これらを踏まえると、相対的に見れば、東京の不動産はむしろ割安と見ることもできるかもしれません。
*マンション単価は各都市の高級住宅地の単価を比較したものであり、東京は元麻布地区の価格。
足元では欧米を中心とした各国の中央銀行が政策金利の引き上げを行っているのに対して、日銀は金融緩和を継続する姿勢を崩していないため、引き続き低金利で不動産ローンを調達できる国です。また、こうした各国中央銀行の政策の相違は円安の主因ともなっています。これらを踏まえると、グローバルな視野で投資機会を探している海外投資家にとっては、相対的に割安な住宅価格、低金利で資金調達可能であること、円安と好条件が重なっている状況として、日本の不動産市場は魅力的な買い場に映っているのかもしれません。