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国内不動産投資の2022年振り返り

2023.01.16

2023年最初のコラムということで、国内の不動産投資環境について、2022年の振り返りをしてみたいと思います。

2022年は欧米を中心として各国で利上げが進んだのとは対照的に、日銀は金融緩和政策を継続し、これによって日米の金利差が拡大し大幅な円安が進んだ年でありました。近年、大都市圏を中心に不動産価格は値上がりを続けているものの、金融緩和と円安は不動産投資家、とりわけ海外の不動産投資家にとっては、日本の不動産を取得する一つの好機であったと言えます。では実際、2022年に国内不動産への投資がどのように増減したのか確認してみたいと思います。

不動産コンサルティング大手のJLLが公表している資料によりますと、2022年1月~9月の9カ月間における国内不動産投資額は1兆9,627億円で前年同期比▲38%と大幅に減少しました。2022年通期での予測でも対前年比▲20%~▲25%減少すると見込まれています。減少の主因としては、一般事業会社による不動産の売却が減少したこと、また、外資系ファンドが保有物件の売却を抑制したことが挙げられます。金融緩和並びに円安環境は、外資系の買い手にとっては購入インセンティブとなりますが、その裏返しで、外資系の売主にとっては売却せずに継続保有するインセンティブとなることが、外資系ファンドによる売却抑制の一因と推測されます。

最後に、2023年の不動産投資動向についても少し触れたいと思います。最も心配されるのが新築の住宅マーケットです。大都市圏を中心として新築マンション価格の上昇は続いており、特に東京都心における新築マンション価格は平均的なサラリーマンの年収の約15倍にもおよぶ状況です。これに加えまして、2022年末に日銀が長期金利の変動許容幅の上限を引き上げたことで、国内銀行は住宅ローンの固定金利を早速引き上げました。今のところ、住宅ローン利用者の大部分が選択している変動金利への影響は出ていませんが、日銀による更なる利上げへの警戒感から、新築住宅購入を踏み留まる動きが拡がり、代わりに中古マンションマーケットへのシフトが進んでいくものと見込んでいます。

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