11月11日(金)の深夜、ドル円相場は146円台から一時140円台に大幅に円高が進みました。この背景にあったのが10日夜に米労働省が発表した10月の米国消費者物価指数(CPI)の結果です。事前の市場予想では前年同月比+8.0%の上昇が予想されていましたが、結果は同+7.7%の上昇率に留まりました。
米国の消費者物価指数は2021年後半頃から上昇を続け、2022年に入ると前年同月比で+8%を超える水準での推移が続いていました。米国の中央銀行は物価上昇を抑えるために利上げを繰り返し、これによって日米の金利差が拡大し、足元の急激な円安を招いてきました。今回のCPIの結果を受けて、米国のインフレはピークを越え、利上げペースも緩まるとの見方が強まったことで冒頭に記載の通り、大幅な円高となりました。
ではこれを機に今後は円高に転じるのか?この点、マーケットの意見は分かれているところですが、当社リサーチ部の考えでは円高に大きく転じるようなことはないと思っています。その理由としましては、米国の利上げペースが緩まるとは言っても、日米の10年国債金利を比較すると、日本が0.2%台であるのに対して米国は4%近い水準と大きな開きがあります。一般的に資金は金利の高い国で運用したいとの作用が働きますので、ドルから円に資金が急激に流れを変える可能性は低いと思われます。勿論、為替相場は思惑が複雑に絡み合って変動するため、一時的には130円台まで円高が進むことはあるかもしれませんが、基本的には円安の流れは続き、2023年前半には140円台後半から150円に再び迫るものと見ています。